
オーストラリアは日本より子育てしやすいって本当なのかな?
自然が多いから子どもがのびのび育って子育てしやすいってこと?



自然以外でも、オーストラリアで子育てしやすい理由があります!
オーストラリア人の夫と国際結婚、上の子が4歳直前、下の子が2ヶ月のときオーストラリアへ移住をしてきました。
日本で上の子を出産、4歳直前まで日本で子育てをしていたわたしにとって、ぶっちゃけ最初はオーストラリアでの子育ては楽ではありませんでした。
不便、汚い、違いすぎて発狂しそう…いや、発狂していました…
しかし、下の子も小学生になって思うことは、日本よりオーストラリアは子育てしやすい国だということ。
では、いったいどんな違いがありオーストラリアのほうが子育てしやすいと感じるようになったのでしょう。
オーストラリアや海外での子育てを迫られている方、不安に思っている方の参考になると思いますので、最後まで読んでいただければ幸いです。
オーストラリアで子育てが楽チンな5つの理由


1.子どもへの怒り方とその考え方
オーストラリアに住んでいる子どもはあまり怒られません。
まったく怒られないというわけではありませんが、大声で怒鳴られる光景は珍しいです。
怒られる事例の許容範囲も広いように思います。
それは怒ったほうがいいのでは?と思うことも、むしろポジティブに受け止めて褒めるときさえあります。
例えば、子どもが公園の水道で遊び始めてしまい、服もパンツまでびしょびしょ
予想だにしなかったため着替えがない、今度の予定があるなどつい怒鳴ってしまいそうですがオーストラリアなら
家に帰ってもうシャワー浴びなくていいわね
というふうに済まされます。
また、「仕方ない」で解決することも多いです。
忘れ物をした、無くしものをした、宿題をやってこなかった
子どもだし、むしろ大人もするし仕方ない
メリハリは大事ですし、怒ったほうがいい場面は言わないとわからないので伝えたほうがいいのですが、どんなことでも声を荒げていうことはほとんどありません。
この日本との違いに気づいたのは移住して何年も経ってからです。
そのため、「君は大声で怒りすぎる」とオーストラリア人の夫に言われても理解できませんでした。
そして、なぜ夫は怒らないのかと不満に思っていたくらいです。
何度言っても理解されないことは子どもによくあります。親も人間なので、つい声を荒げてしまうこともあるでしょう。
しかし、日本にはない光景として怒るどころかポジティブに笑いに変えたりもします。
まるで雨が降ったみたいね
涼しくて気持ちよさそう
どんな事情があれ、いたずらで濡らしてしまってもその程度でおしまいです。
ただし、なんでも許されるというわけではありません。
怒らずに笑いに変える、どんな小さい子どもでも、論理的にダメなことを言い聞かせるなど対応をしますが、それでも再三の注意を聞かない場合は別です。
または子どものほうが納得できずにかんしゃくを起こすなど、止められない状況もあります。
それでも怒鳴ることはありませんが代わりにペナルティが与えられます。
よくあるペナルティは、タイムアウトといい、1人で部屋にこもらせて反省させることです。
わたしは昭和の人間なので、よく怒られて家を追い出される、いわゆる締め出しをされることがありました。
タイムアウトはうちの子も何度か経験しています。鍵をかけて閉じ込めるわけではありませんので、部屋にこもっても泣き叫ぶことはありませんでした。
冷静になれたため、1人で遊びに夢中になり、指定した時間を過ぎても出てこないのでこちらが迎えにいくこともあります。
ペナルティを含め、日本とオーストラリアの怒り方の違いに戸惑いはいまだにあります。
しかし、怒られずに育てば、怒らない人間が集まった社会になるのだなと、オーストラリア人の夫を見ていて思います。
大きな声で注意をしても、声を出した方も出された方も気分が良い物ではありませんからね。
特に、大声で怒ってしまったときは、言い過ぎたのではないかとこちらが反省してしまい、本来子どもにわかってほしいことを見失っているように思います。
その点、大声を出して自分も反省するということにはならないので、子どもに伝えるべきことに集中できるのでしょう。
- 怒鳴らずに怒る
- 怒る前にはポジティブに受け止める
- 論理的に注意をする
- それでも聞かなければペナルティで反省させる
2.清潔に対する考え方


「汚い」の感覚がオーストラリアはぜんぜん違います。
日本人が「汚い」と思うことも、オーストラリアでは「汚い」と思われないことです。
オーストラリアは靴で家に入る習慣があります。
オーストラリアと言わずに、欧米ではよくある光景ですね。
そんな家に赤ちゃんを転がしたり、はいはいさせておく事がわたしは許せませんでした。
確かに、見た感じではそれほど汚れていないようですが、そういう問題ではありません。
靴で入ってくるカーペットは外と同様に汚いと思ってしまうので、その上に子どもを置くことが嫌でした。
家の中だけではありません、外でも赤ちゃんを地べたに転がす光景はよくあります。
砂場でも、ウッドチップでも芝生でも、ビーチでもよく見かける光景です。
多少の汚れは手で払う程度で、あえて着替えさせるほどではありません。
しかも、裸足どころか、濡れたら服を脱がせて、そのまま着替えせずにほぼ裸で遊ばせ続けることも大いにあります。
暑い国だからか、服を着ていないおむつ1枚の子どもは珍しくありません。
また、多少汚い手でも気にせずそのままの手で食べさせたり、外のテーブルが汚れていてもそのまま使います。
「キレイにしてからにして!」と何度発狂したことでしょう…
しかし、そんな生活にも慣れていきます。
いちいち汚いを気にしなくなると同時に子どもも大きくなっていくため、自分の中の「汚い」と思う感覚が変わっていきました。
7年経った今では、オーストラリアと違って日本は綺麗好きすぎるのではないかとさえ思ってきました。
多少汚くても受け入れられるようになったことで、気持ちもおおらかになったようです。
日本に一時帰国をすると、どうしても窮屈に感じてしまうのは、今まで気にしていたことを気にしなくなったオーストラリアと比べているかもしれません。
子どもものびのびしていますが、今では子育てをする自分ものびのびしているのだと思います。
3.親から子どもに対する考え方


オーストラリアの親は子どもに甘いと常々感じています。
特に、食べ物に関して、お腹を空かせたらかわいそうという文化と言ってもいいでしょう。
お腹を空かせて我慢をさせることは決してありません。
学校は給食はありませんので、未就学からお昼はお弁当です。
しかし、
朝のモーニングティー(munch and crunch, 1st breakなど言い方は複数あり)
ランチ
アフタヌーンティー
の3食分を持っていくことからだいぶ食べ物に対して気を遣っていることがわかります。
日本では、登校してから給食まで何も食べないのが普通です。
そして、給食が終わって家に帰るまで食べません。
しかし、確かにお腹は空いていた記憶があります。
午前中の授業のときにお腹がなることはよくありました。
一方オーストラリアの学校では、ほぼ2、3時間おきに何かを食べていることになります。
モーニングティーにはヘルシーなものが推奨されていますが、お腹が空いても我慢しなくていいところが驚きました。
それ以外でも、親が仕事の都合で学校が始まる前に子どもを預ける場合は、
どの段階でも何か食べたり、放課後の3時以降で同じように親が迎えに来れずに預けられる場合も2度目のアフタヌーンティーがでます。
小さい頃からそんな生活なので、子どもはお腹が空いたらいつでも何かしら食べ物が食べられると思っていて困りました。
親としては、虫歯も気になりますが、オーストラリアはお腹を空かせないことが優先されるようです。
水が硬水でフッ素も多く入っている国だからと言って、水を飲んでいれば虫歯にならないと言うものでもないでしょう。
現に、虫歯になりやすい子は幼くして虫歯治療が何本もあります。
他にも、子どもに甘いなと感じることは、クリスマス、誕生日プレゼントの多さ、誕生日会の大きさです。
誕生日においては、誕生日会をしてあげないとかわいそうというような雰囲気すらあります。
家庭によって考え方は違いますが、数々の誕生日会に呼ばれると、こちらも誕生日会をせざるを得ない状況になってきます。
子どもが自分誕生日会を開きたいと言い出すからです。
そして20人以上の友達を呼べば20個以上の誕生日プレゼントが集まります。
生まれたときからそんな誕生日を迎えていたら、プレゼントが1つだけの誕生日なんてかわいそうとなってしまうのでしょう。
誕生日会も今やパターンは様々なものがあり、むしろなんでもあり?
おそらく想定すると300ドルから800ドル(およそ日本円で3〜8万円)の幅で呼ばれたことがあります。
(誕生日会に関しては別の記事で紹介します)
子どもにそれだけお金をかけることや、誕生日だからといって子どもの希望を叶えることがいいのか、悪いのかはわかりません。
子どもを喜ばせるためにそこまでやる必要があるのかいまだに疑問です。
ただ、誕生日の子どもはやっぱりキラキラしています。そんな子どもの笑顔が見れるのならと、がんばる親がいるのもオーストラリアなのでしょう。
移民が多いので、私たちのように誕生日会に馴染みがない国の出身者もいます。
それでもオーストラリアで育つ子どもとして誕生日会をすることは悪くないのかもしれません。
せっかくプレゼントをたくさんもらえるオーストラリアで育ったのであれば、それもありですね。
4.社会の子育てサポートと役割


社会全体で子どもを見守っている安心感があります。
態度や言葉で自分の子も他人の子も尊重しているなと感じることが多いです。
例えば
子どもが泣いていたら、知らないおばちゃんが
What’s wrong darling?
買い物の支払いを手伝った子どもに、レジのおばちゃんが
Thank you, darling.
というふうに、darling (ダーリン)を使うことです。
印象として、ダーリンは妻が夫に使う、まさにI love youと同じくらい重みのある言葉ですよね。
それを自分の子どもに使い、あかの他人の子にも使うことで、子どもに対してなんて優しい国なんだと思いました。
一方で、日本でたった4年の子育て歴ではありますが、子どもが泣いていたら迷惑そうに去っていく人や、
銀行などの支払い時に、騒ぎ出した子どもに戸惑っていると、そんな子どものことはお構いなしに早くするようせかす人もいました。
ほんの数分でさえ、子どもに合わせて待ってくれない社会だと痛感した出来事です。
都会で子育てをしていたからかもしれませんが、家をでたら母親としてちゃんとする、子どもが迷惑をかけないようにするプレッシャーはありました。
電車やバスで泣き止まなかったらどうしよう。
満員電車でベビーカーが乗せられなかったらどうしよう。
そんな小さな子どもを公共の乗り物で移動させるなとさえ言う人もいるかもしれません。
私自身、こんな小さな子を抱えて乗らない方がいいのではないかと思っていました。
しかし、どんなところにも子どもを連れていくオーストラリアの環境は、母親にとってありがたいものだと感じるようになります。
それを拒んだり、嫌味を言ったりする人も中にはいるかもしれませんが、圧倒的に受け入れられる方が多いのです。
外食をするときに、子どもがいても大丈夫なお店など考える必要はありません。
上の子の三者面談に下の子をベビーカーで連れていっても迷惑がられることはありません。
どこへ行っても受け入れられる、知らない大人も話しかけてくる、
そんな環境で育った子どもなので、子どもたちも知らない大人にどんどん話しかけていきます。
小学2年生だった上の子が、突然自分からガソリンスタンドの店員に「この音は何?」と話しかけて驚いたことがあります。
疑問に思ったから聞いただけですが、それをママではなくお店の人に聞いた行動に深い意味を感じました。
店員さんは、自分の仕事の手を止めて丁寧に説明してくれました。
子どもをあしらわない態度もオーストラリアだなと思います。
対する下の子は、友達の親にどんどん話しかけます。
週末〇〇へ行った、今度〇〇をする、など個人的な出来事を自分の友達に話す大人のようにです。
さらに、今度〇〇ちゃんと遊びたいから遊びに行っていいかなど直に交渉するときもあります。
逆に私も子どもの友達に個人的に嬉しかったことなど報告されることもあります。
聞いてどうするんだ?という内容ですが、こんな英語がわからなそうなおばちゃんにも話してくれるんだなと感心してしまいます。
公園でも、近くにいただけで知らない子どもにブランコ押してと頼まれることがなんと多いことか。
子どもだからできないことも困ることもあります。それを周りの大人が自然と助けてあげる。
日本にはない子どもと大人の関係が感じられ、子どもも安心して社会で大きくなっていくのでのびのび成長できるのでしょう。
5.子育てに関する文化や価値観


オーストラリアでは、母親だけでなく子どもはみんなで育てる考えがあります。
父親も子育てをしている姿は普通です。母親だからするという概念はありません。
どっちがやってもいいものですし、母親がやらなければならないことはないのです。
日本ほど母乳育児にこだわらないのも理由があります。
母乳は母親しかできませんが、ミルクや哺乳瓶育児であれば父親でもいいからです。
父親だけでなく、祖父母も親戚も多く活用して子育てをします。
私自身、完全母乳で育てたので自分がいなければならないと強く思っていました。
それが負担になることはなかったのですが、オーストラリアへきてからは手伝えないと不満に思われたことさえあります。
それだけ、オーストラリアには子育ては母親中心という考えもないのでしょう。
特に共働きであれば、保育園という方法もありますが、生後まもない子どもを親族に見てもらいつつフルタイムの仕事に復帰する母親もいます。
完全母乳も理由の一つではありますが、生後半年もたたないうちに子どもを預けて働きに出る考えは理解できませんでした。
そもそも父親が母親と同等、またはそれ以上に子育てをしている姿を見たことがなかったので、夫に自分と同等の子育てをお願いする気持ちにならなかったのです。
さらに、自分も祖父母と近い距離で育っていなかったので、母親ではなく祖父母が面倒をみる、学校の送迎をする、学校行事に参加する、などありえませんでした。
しかし、オーストラリアはできる人が子どもをサポートをして育てるのが当たり前に感じます。
母親だけに負担がかからず、母親だからやらなければならないという義務もないので、子どもが生まれても働き続けられるのは周りと社会の理解があるからですね。
次に、5つの違いを踏まえてオーストラリアのほうが子育てしやすいポイントを2つあげます
オーストラリアで子育てしやすいポイントとは?
1.肩身の狭い思いをしなくていい


オーストラリアで子育てをしていて、肩身が狭くなることがありません。
逆に日本で子育てをしていると肩身が狭くなる思いをすることがありました。
上記にも述べましたが、子どもを家の外へ連れていくとき、心配になることが常にあったように思います。
バスや電車で泣き止まなかったらどうしよう
子どもが騒いで迷惑をかけたらどうしよう
子どもが大人しくできるようなところはあるのか
そもそも、こんな小さい子を連れてくる場所ではないと思われそうで出かける場所には常に気を使っていました。
それどころか、安らぎの場である家の中でも、子どもの声は響いていないか、下の住民にうるさいと言われないか気が気でなかったです。
オーストラリアに移住してからは、そんな肩身の狭くなる思いをしたことがないため、日本ではなんて肩身の狭い子育てをしていたんだとわかりました。
それほどオーストラリアは子どもを受け入れてくれる国だったのでしょう。
子どもだから騒ぐのは仕方ない、子どもだからできないこともわからないこともある、それを大人が助けるのは当然な振る舞いがされている。
そのため、子どもものびのびと育てられるのだと思います。
2.みんな違ってみんないい


移民の多いオーストラリアなので、みんな違う事情を抱えて住んでいることが浸透しています。
それは移民に対して理解のある国だからです。
例えば、現地校に通えば共通語は英語ですが、オーストラリア英語を話す子ばかりではありません。
訛りがあったり、英語そのものがまだカタコトだったりしても「あの子だけが変」ということにはならないですし、学校でも受け入れてくれます。
英語が第二言語のため、学校に入学してもうまく話せない子のために、そういった子を集めて特別授業をすることがあります。
また、第一言語を使い続けるようにと応援もしてくれます。
我が家は日本語と英語の両方を話せますが、日本語も話せるなんてすごいわねと友達の親が褒めてくれたり
学校の先生がぜひ家の中で日本語を使いづつけるようにと言ってくれます。
思っていた以上に第一言語を使っていいことに驚きました。
そのため、英語以外で話す親子を見かけることはよくあります。
移民だからといって、すべてオーストラリアに染まる必要はないということが、子育てをしやすくしてくれているのでしょう。
まとめ
オーストラリアで子育てしやすく、子どもがのびのび育つのは単に自然が多いだけではありません。
社会全体で子どもの存在を受け入れられている点と、移民が多いことでさまざまな事情があり、色々な子どもがいることを理解されているからです。
その他の違いも、時間とともに受け入れられるようになること、オーストラリアの社会全体で子どもを優しく見守っていてくれていることで、違いもだんだんと受け入れられるようになります。
とはいえ、やはり長期休みに宿題がでなかったりと子どもにもっと厳しくしたほうがいいと思う部分は日本人としてあります。
しかし、子どもに甘過ぎる点も含めて、今では子どもがのびのび育ってよかったなと感じていますので、オーストラリアで子育てしやすいと言えるでしょう。